乗りつぶし 第16話 2010/7/22-30 道北
(2010/08/01記)

TurtleNeck「ちょっと9日ばかり北海道へ行ってくる」
カミサン「ちょっと9日(笑)。で、どこへ行くの」
TurtleNeck「積丹、小樽、留萌、増毛、宗谷岬、利尻、礼文、オホーツク海沿岸、サロマ湖…」
カミサン「利尻礼文…昆布を買ってきてよ。有名なんだから」
TurtleNeck「あっそ」

 青春18きっぷ使用、乗りつぶす予定は留萌本線(全区間)と宗谷本線(新旭川〜稚内)だけ。
 全部で2万円ちかく乗るであろう路線バスで両替に困らないよう、別に千円札を30枚準備した。

訪問年月日記        事
2010/07/22

 青春18きっぷ1日目。倶知安へ向かう。

07:21弘前発→(JR奥羽本線)快速→07:57青森着

 7:57に青森駅4番線に入線した3625M列車は、そのまま8:07発蟹田行き327M列車となる(乗換不要)。

08:07青森発→(JR津軽線)→08:49(遅08:55)蟹田着

 改札を出て(下車印1個目)、駅前で一服。

09:20蟹田発→(JR津軽線・海峡線)白鳥45号→10:09(遅10:10)木古内着

 改札を出て(下車印2個目)、駅前で一服。

 幕末期に江戸幕府が保有していた軍艦「咸臨丸」(かんりんまる)は、1871年9月19日(旧暦)、片倉氏の旧臣401名を移住させる目的で北海道小樽へ向け出航したが、輸送途中、北海道木古内町和泉沢沖で暴風雨により遭難し、サラキ岬で破船、沈没したという。
 このことにちなんで木古内駅正面には、「咸臨丸」を模したオブジェが飾ってある。

 駅から歩いて15分ほどで海岸沿いの道路に出た。
 そこには真新しいコンクリートの鳥居と佐女川神社の由来を書いた石碑があるだけで、ほかにめぼしいものは見当たらないので、引き返した。

 復路、蕎麦屋の案内看板がくくりつけられている貨車を見つけた。それは、風化が進み、廃墟と言ってもよかった。 

12:34木古内発→(JR江差線・函館本線)→13:46函館着

 改札を出て(下車印3個目)、駅前のドトールで一服。

14:27函館発→(JR函館本線)→17:43長万部着

 車内放送で、森駅では16分停車するという(さんざん時刻表を調べまくったのに、こんなところが盲点だったとは)。これまで買い損ねてきた「いかめし」を売る「いかめし阿部商店」は、駅の目の前なので、悠々と改札を出て(下車印4個目)、いかめしを買って列車に戻った。
 それは、大きさ(12cm×9cm)も値段(500円)も普通の駅弁の半分で、軽く味付けした2個の小ぶりなイカの胴体には、もち米が含まれているのか粘り気のあるご飯が詰まっていた。

 長万部駅に着くと4分の乗継で函館本線経由札幌行き普通列車が出る。数名の18キッパーらしき旅人が乗り換えていった。
 自分も当初はそのように乗り継ぐつもりでいたのだが、どうせなら長万部のかにめしも買って1時間59分後に出る次の列車で行こうと気が変わり、改札を出た(下車印5個目)。

 駅前徒歩2分の「かにめし本舗かなや」は18:00までの営業なので、呑気に構えていたら買い損ねるところだった。
 ここのかにめしは、カニ脚がごろんと寝っ転がっていたりする他所のかにめしとは異なり、ほぐして味付けしたカニ身がご飯の上に敷かれているだけなので、派手さはないが、味付けが絶妙。人肌色のカニ身は薄味で、所々に散らばる白いカニ身は酢できりっと味付けしているあたりがこの店のノウハウなのだろう。ここのかにめしは、道内各地で食べたどのかにめしよりうまいと思う。

19:46長万部発→(JR函館本線)→21:31倶知安着

 倶知安駅で下車(下車印6個目)。

2010/07/23

 バスだけで移動する日。積丹経由で小樽へ向かう。

06:50倶知安駅前発→(ニセコバス小沢線)→07:39(遅07:43)岩内バスターミナル着

左がバスターミナルで、右が道の駅。

 岩内は霧雨。
 バスターミナル(コインロッカーあり)は、旧岩内線(小沢〜岩内)の終点・岩内駅の跡地に建ったものらしい。
 向かいに小じんまりと建つ道の駅「いわない」は、開店前だった。

 タラで有名だという岩内、朝からやっている食事処は少ない。
 バスターミナルの東隣の区画にある「いわないタラ丸市場」へ向かった。テントの向かいにプレハブが建ち並ぶその先頭にあって朝から呼び込みに精を出す有名で高価な店ではなく、一番奥の安価でマイナーな店で食事をしたかったからだ。
 その店主に聴くと、もはや食事は提供していないと言う。どこがよいかと尋ねると、交差点の筋向かいの食事処がよいと紹介してくれたが、あいにくそこも開店前だった。
 しかたないので、コンビニで間に合わせた。

 バスターミナルに戻り、裏手のバス発着所に回りこむと、廃線跡らしき直線道路が見えた。

 進んでいくと、水路に架った橋は通行止めで、道はさらにまっすぐ伸びている。
 撮影のため、対岸に現れたゴミ出しのおばさんがいなくなるのを待っていたら、おばさんはあっという間に通行止めを乗り越え脇を通り過ぎて行ってしまったので、あっけにとられた。

09:45岩内バスターミナル発→(北海道中央バス神恵内線)→11:23(遅11:27)神威岬着

神恵内すぎの奇岩

 積丹半島へ向かう海岸線では、ごつごつとした岩場がいくつも見られた。

 神威岬に着いたら、あたりは雲の中。
 遊歩道に入ったあたりでも、ほとんど何も見えない。

 だいぶ歩いてようやく岬に出た。
 岬の先に点々と並ぶ神々の岩は、雲が薄くなるとかろうじて見えたりした。

 復路、遠景が少し見えることもあった。

 昼食を済ませてバス停に戻ったら、バスの様子がおかしい。バッテリーが上がってエンジンがかからなくなったのだという。乗客は、自分とビジネスマンらしき1人の計2人だけ。
 1時間半待てば次のバスが出るのだから、自分はそれでも別に構わない。
 余市営業所から回されたという代車は、所定時刻から35分後という早さでバス停にやってきた。

13:47(遅14:22)神威岬発→(北海道中央バス)→14:13(遅14:45)島武意海岸入口着

 JTB時刻表の表示は「入舸(いりか)」で、待合所の表示は「入舸バス待合所」で、バス停の表示は「島武意(しまむい)海岸入口」。観光地の名前に変えたということらしい。
 小樽へ行く次のバスまで約1時間、その次の最終バスまで約2時間半ある。
 つづら折の道を上り始めたら、雨脚はどんどん強くなってきた。合羽やリュックのカバーなど雨具はいちおう持っているのだが、また天気のよい日に来ればいいのだからと考えて撤退した。

15:41島武意海岸入口発→(北海道中央バス)→17:29(早17:26)小樽駅前着

 小樽に着いたら、なんだか騒がしい。第44回おたる潮まつりだという。観光客だかまつりの観客だか、あいにくの雨模様にもかかわらず大勢の人たちが街にあふれている。

 ホテルに荷物を置き、小樽運河食堂へ行ってみた。倉庫だ。
 近くのびっくりどんきーやローソンの建物までもが倉庫または昔風の造りで、いずれ、町全体が倉庫ルックになってしまいそうな予感。

 小樽運河食堂の内部は、屋台村さながらに海鮮、寿司、ラーメン、洋食などいろいろな店舗が入居し、「オーイラみーさきのー♪」といったレトロな歌謡曲が流れている。安いサービスメニュウのある人気店などはすでに完売・閉店し、海鮮だと少々高めの店しか開いていなかった。むろん、ネタは新鮮でうまかった。

 小樽運河に架かる広場に戻ってきたら日没。それでも広場は、記念写真を撮るカップルやら三脚を据えたカメラマンやらで賑わっていた。

 北海道最古の鉄路だった「手宮線」に遭遇。
 義経号、静号、弁慶号が走ったのだという。沿線には出店が点々とある。
 線路が歩道や車道と交差する場所でも埋まったまま残されているこの保存状況は、素晴らしい。

2010/07/24

 青春18きっぷ2日目。留萌本線往復後、旭川へ向かう。
 小樽駅で改札のついでに下車印も(下車印7個目)。

06:00小樽発→(JR函館本線)→06:45札幌着
06:58札幌発→(JR函館本線)→08:35滝川着

 改札を出て(下車印8個目)、駅前の商店街をぶらぶら。4年前にここを訪れたときじゃがいもの入ったカレーを出してくれた喫茶店は、なくなっていた。

 滝川以北は、普通列車の本数が少ないNeck。次の普通列車まで3時間以上ある。
 滝川から深川まで普通列車以外の場合、特急だと740円(乗車券440円、特急券300円)かかり、空知中央バス(滝川バスターミナル〜深川市立病院前)だと590円かかる。
 バスで深川へ向かった。

09:10滝川バスターミナル発→(空知中央バス滝深線)→10:00(遅10:03)深川市立病院前着

 深川駅前の喫茶店で一服。
 深川駅で9個目の下車印を押してもらって乗車。

11:08深川発→(JR留萌本線)→12:04留萌着

 留萌駅の改札を出た(下車印10個目)。ここでは増毛駅(無人駅)の入場券を売っているというので、さっそく購入(その後行方不明)。

 ゆっくり歩いて20分で、お目当ての「蛇の目寿司」に着いた。土曜日ということもあってか店は相当な込み具合。板前3人と店員4人は休む間がない。注文した「とくちゅう」(1,260円)は、25分後に出てきた。ネタは新鮮。シャリもうまい。オマケもついた。これで、エビの頭が浮かんだ吸物の出汁がインスタントでなければ言うことはなかったのだが。

 留萌駅に戻ってきたら、熊の剥製があることに気がついた。サケ(木彫り)をくわえ、いかにも北海道らしい。

14:21(遅14:33)留萌発→(JR留萌本線)→14:47(遅14:55)増毛着

 昔の列車や貨車を駅にしているところは、留萌本線に限らずあちこちで見られた。

 終点増毛駅は無人駅なので、下車印をもらうことができない。


増毛駅

 増毛は、昔栄えた町らしい。

 旧商家丸一本間家は、重要文化財。

 國稀酒造という造り酒屋もある。

15:48増毛発→(JR留萌本線)→17:13深川着

 復路、留萌駅で下車して旧羽幌線ルートを沿岸バスで幌延へ抜ければ後戻りしないで済むのだが、それだと宗谷本線は南下して乗りつぶすことになって不本意。といって、逆ルートだと乗継等が難しい。それなら、留萌本線は後戻りで我慢し、代わりに南稚内から網走までの廃線ルートをバスでたどってみようか、ということで今回の旅行プランの骨格は決まったのだった。

 深川駅で改札を出て(さっき寄ったばかりなので下車印は省略)、駅前を散策した。

18:10深川発→(JR函館本線)→18:37旭川着

 深川駅に戻って列車に乗り込んだら、隣のボックス席の関西人が話しかけてきた(話しかけてきた1人目)。

関西人「デジカメじゃないですね」
TurtleNeck「えぇ、デジカメは持つ気になれなくてね」
関西人「そのカメラ、(ボディもレンズもストラップも)全部黒でしょ。デザイン関係の仕事をしているのでわかるんですが、黒が、いちばん種類が多いんですよ」
TurtleNeck「へぇ、そうなんですか。たしかに、このカメラを普通に撮れば、真っ黒に写るだけでしょうね」
関西人「今日、上から覗き込むとすりガラスに反対に映る箱型カメラで風景を撮っている人がいましたよ」
TurtleNeck「二眼レフってやつでしょ。よくやるもんだなぁ」
関西人「旅行が大好きで、四国以外はほとんど乗りつぶしました。今晩は旭川に泊まり、明日は稚内へ行きます」
TurtleNeck「おや、同じコースかも。6:05発稚内行きですね」

 よくしゃべる関西人は、今度は同じく関西から来たというおばさん連中と語り始めた。
 旭川駅で下車(下車印11個目)。

2010/07/25

 青春18きっぷ3日目。稚内へ向かう。

06:05旭川発→(JR宗谷本線)→11:52(遅11:54)稚内着

 8:52に着いた音威子府駅では9:20まで28分も停車するので、改札を出た(下車印12個目)。
 ここでは黒い駅そばが有名で、開店はおよそ9時半だが流動的だというクチコミも。しかし一向に開く気配はないので、黒い駅そばはあきらめ、列車に戻った。

 列車は、なだらかな地形を天塩川に沿って下っていく。川の水は、昨日来の雨で濁っている。

 幌延では14分停車するので、いったん改札を出た(下車印13個目)。

 抜海駅を出ると、それまで無口だった列車が「利尻富士が見えます」などと放送して徐行。粋な計らいだ。
 なだらかな地形の続く道北にあって、海から突然突き出た利尻富士は、ひときわ目を引く。

 少し右のほうに目をやると、これから向かう稚内あたりが一望できた。

 稚内駅は、ホーム反対側の線路は撤去され、1番線だけ残っている。ここで下車(下車印14個目)。

 ノシャップ岬行きのバスは、駅から交差点2つ先の郵便局前からたくさん出ているという。そこに着いたら、すぐにバスが来た。

12:03(遅12:04)稚内駅前発→(宗谷バス)→12:16(早12:13)ノシャップ岬着

 バスの終点から徒歩15分くらいで野寒布(ノシャップ)岬に出た。道東・根室の納沙布(ノサップ)岬とよく似た名前で、まぎらわしい。
 ここの灯台は、北海道で一番高いのだという。なるほど、展望台からでも十分高く見えた。

 左のほうに目をやると、明日向かう利尻島がうっすらと見えた。

 バス停に戻ってきたら、岐阜県のおっちゃんに話しかけられた(話しかけてきた2人目)。

岐阜人「よい写真が撮れましたか?」
TurtleNeck「写真はどうだか…天気がいいですからねぇ」
岐阜人「これからどちらへ」
TurtleNeck「バスを乗り継いで2日かけて網走へ」
岐阜人「へぇ、バスでうまく乗り継げるものですか。だいぶおカネがかかるでしょう」
TurtleNeck「乗継はうまくいくんですけど、それだと観光する時間がなかったりするので1本遅らせたりしながら進むんです。おカネは、稚内から網走まで1万2千円くらいかな」

12:54ノシャップ岬発→(宗谷バス)→13:06(早13:03)稚内駅前着

 稚内駅に戻り、「ふじ田」のかにめしを買って宗谷岬行きバス待合所内で昼食とした。カニ脚がごろんと2個乗っているほか、ご飯の上に赤っぽいズワイガニの脚先らしきカニ身が散らばり、ワイルドな感じ。かにめしとしては、長万部・かにめし本舗かなやの次にうまいように思う。

13:45稚内駅前ターミナル発→(宗谷バス)→14:31宗谷岬着

 宗谷岬は、テレビでも幾度となく紹介され、見ごたえのない場所であることは承知していた。
 それでも、4日かけて最北端まで来たかと思うと、やはり気分は違う。
 みやげ物店で「日本最北端到着証明書」(今日の日付と現在時刻を印字してくれる、稚内観光協会発行のカード。100円)を買い求めた。

 はるか彼方にうっすらとサハリンが見えた。国内にいて肉眼で外国を眺めたのは、これが初めて。

15:08宗谷岬発→(宗谷バス)→16:00(早15:54)稚内駅前ターミナル着

 ホテルに荷物を置き、稚内港北防波堤ドームへ向かった。
 防波堤がドーム型というのが珍しい。桟橋から駅までの乗換通路と防波堤の役目を担って1931年から5年かけて建設されたという。全長424mで、ヨーロッパ建築のような優雅さがあって、美しい。

2010/07/26

 フェリーで利尻と礼文へ出掛ける日。
 連泊なので、カメラや時刻メモなど最低限の荷物だけ持ってホテルを出た。

 稚内港フェリーターミナルには、すでに多くの乗客が集まっていた。人気観光ルートだけのことはある。

06:30稚内発→(ハートランドフェリー)→08:10(遅08:17)利尻島・鴛泊着

 右舷にペシ岬を見ながら鴛泊(おしどまり)港に入港。
 ターミナルに降り立ったら、客待ちのタクシー運転士が数人たむろしていた。

 ペシ岬に登山中、乗ってきたフェリーが出港していくのが見えた。

 ペシ岬展望台には、ターミナルから徒歩20分くらいで着いた。
 雲が厚く、肉眼ではわずかに稚内と礼文島が見えるだけ。サハリンは、見えなかった。

 振り返ると、鴛泊の町並みが広がっていた。
 島は、高い木がほとんどなく潅木や草藪ばかりで、全体的に優しい黄緑色をしている。

 ターミナルに戻り、向かいのみやげ物店で利尻昆布と磯海苔を買い求めた。
 ターミナル前のバス停で一服していると、客待ちのタクシー運ちゃんが寄ってきた(話しかけてきた3人目)。

運ちゃん「どこへ行くの?」
TurtleNeck「沓形」
運ちゃん「バス停は、向かいだよ」
TurtleNeck「それは、近回りのルートでしょ。せっかく来たからわざと遠回りのルートで行くんだから、ここでいいの」
運ちゃん(当方の手製時刻表を眺めながら)「そんな時間じゃ沓形まで行けないよ」
TurtleNeck「宗谷バスに聴けばいいでしょ(怒)。こう書いてあったんだからさ」
運ちゃん「…」
TurtleNeck「ここは、きれいな島だねぇ」
運ちゃん「うん。フェリー会社、以前は4隻でやっていたのに、3隻に減ってからおかしくなっちゃったんだよなぁ…」
TurtleNeck「はぁ、そんなことになっていたんだ…」

09:32(遅09:33)利尻島・鴛泊発→(宗谷バス)→10:42(遅10:43)利尻島・沓形着

 沓形のバス停からフェリーターミナルまでは、徒歩15分ほど離れていた。
 小高い展望台から、小じんまりとした港を眺めてみた。これから向かう礼文島も見えた。

11:35利尻島・沓形発→(ハートランドフェリー)→12:15(早12:14)礼文島・香深着

 香深フェリーターミナルに降り立ち、向かいのみやげ物店で物色していると、店主が寄ってきた(話しかけてきた4人目)。

店主「○○草を見に行ってきたの?」
TurtleNeck「いや、これからバスで桃岩とか…」
店主「桃岩へ行くんだったら、1時間も待たなきゃバスは来ない。時間が勝負なんだからね。タクシーで知床まで行ったほうが楽でいいよ。桃岩から入ると上りがきつくて大変」

 店主は、観光地図に記載の「40分」(香深〜桃岩)をペンで「120分」と訂正して渡してくれた(マジかよ)。それにしても店主、時間が勝負だとはよいことを言う。たしかにそのとおりだ。
 にもかかわらず、天邪鬼なので香深から徒歩で桃岩を目指してしまった。ハイキングコースとして整備されたその道は、たしかに上りが続いてきつく、休み休み登らないといけなかった。

 なんだ、45分で桃岩に着いてしまったではないか。まぁ、いいけど。
 ところで桃岩は、雲の中。あたりは何も見えず、○○草も何もあったものではない。居合わせた旅行客とただ苦笑いするだけだった。

 一休みしてから、元地灯台へ向かった。平坦または下りが多いので楽だ。
 途中でかすかに見えた奇岩が猫岩とかいう代物なのだろうか。

 40分で元地灯台に出た。元地灯台からは、なだらかに下るだけだった。
 30分で知床のバス停に出た。時刻表を見ると、あと10分でバスが来る。これは都合がよい。予定より1本早いフェリーに余裕で乗れるだろう。
 バス停向かいのひっそりとしたみやげ物店で礼文昆布を買い求めた。

15:01知床発→(宗谷バス)→15:09礼文島・香深着

 16:10発のフェリーに余裕で乗船。
 出港するころになったら、なんだか騒々しい。
 岸壁の若い男性4人がフェリーへ向かって大声で歌い始めたのだ。うち1人は、車椅子。
 歌は、月光仮面など懐かしいものばかり。
 それも、頭上で手拍子をとったり振りをつけたりとにかく元気いっぱい。
 相手は、フェリーの左舷デッキに立つオレンジ色のジャケットを着た長身の若い女性。女性もにこにこしながら岸壁の若者らに合わせて遠慮がちに振りをつけている。
 なんだなんだと、左舷に見物人が少し集まってきたが、若者らの歌も女性の振りもそんなことにはお構いなし。
 歌は、次から次へと続いた。

16:10礼文島・香深発→(ハートランドフェリー)→18:50稚内着

 やがてフェリーは、出港した。
 女性は、岸壁が見えなくなるころまで後部デッキで手を振り続けていた。

 このフェリーは、利尻島・鴛泊経由なので時間がかかる。
 それでも稚内に戻ってきたときは、まだ日暮れ前だった。

2010/07/27

 バスだけで移動する日。紋別へ向かう。
 ホテルを出たら、雨が降っていた。
 稚内の隣駅・南稚内から浜頓別を経由して音威子府までは、旧天北線のルート。

05:50稚内駅前バスターミナル発→(宗谷バス)→08:21浜頓別バスターミナル着

 途中、鬼志別に着いたら運転士は、さっさと駅舎へ入っていってしまった。停車時間があるらしい。乗り合わせた高校生に発車時刻を聴いたら、「23分とかそんな時刻です」というので、さっと降りて撮影した。


天井から吊るした木に「鬼志別駅」の表示あり。

 中を覗いたらそこはやはり、旧鬼志別駅の駅舎だった。

 浜頓別バスターミナル(コインロッカーは見当たらない)は、小じんまりとしている。周囲は整備され、どこが廃線跡だかわからない。

 中には、旧浜頓別駅の模型が展示されていた。

 接続バスを1本見送り、クッチャロ湖へ向かった。道東にある屈斜路(クッシャロ)湖と間違えそうなまぎらわしい名前だ。
 休み休み30分ほど歩いてクッチャロ湖に出た。付近には、キャンプ場もある。なかなか静かでいい場所だ。

 クッチャロ湖は、ラムサール条約に登録されているという。
 近くには、環境省の水鳥観察館もあり、中には、怪我とかで死んだ水鳥の剥製などが展示されていた。

 浜頓別から枝幸までは、旧興浜北線のルート。
 バスターミナルで乗車券を買い求めるとそれは、国鉄時代の硬券とそっくり。これは、あとで回収しなくては。

11:55浜頓別バスターミナル発→(宗谷バス)→12:40枝幸バスターミナル着

右のピンクの建物が枝幸バスターミナル。

 枝幸バスターミナルで下車するとき「記念に乗車券をください」と申し出たら、運転士は困惑した様子。少し粘ったらバスターミナルの窓口へ連れていってくれた。きっぷは、そこで係員が裏面に年月日と使用済みの記載をし、無事回収。

 バスターミナル(コインロッカーあり)から左のほうへ目を向けると、北見枝幸駅跡の表示があった。

 枝幸から雄武(おうむ)までは、鉄道敷設が計画倒れに終わった区間。

13:00枝幸バスターミナル発→(宗谷バス)→14:07(遅14:11)雄武着

 雄武バスターミナル(コインロッカーは見当たらない)は、旧興浜南線の終点だった地点。
 中に展示してある鉄道関係の資料を、椅子によじ登って柱につかまりながら撮影していたら、礼儀正しい高校生に声をかけられた(話かけてきた5人目)。

高校生「どちらへ?」
TurtleNeck「紋別まで」
高校生「ここは田舎なのにどうして…」
TurtleNeck「宗谷本線を乗りつぶしてただ戻るのも癪なので、ほとんど来る機会のないオホーツク海沿岸を稚内からバスで移動してきたのです。ここは昔鉄道が走っていましたよね。鉄道マニアの究極のひとつは、廃線めぐりかもしれません」
高校生「ここのタワーの展望台には、上りましたか?」
TurtleNeck「いえ、まだ」
高校生「じゃ、上りましょう。案内します」


高校生(海へ向かって右側で)「中央下から上方向の草薮に向かう細い道路が興部へ向かう旧興浜南線の廃線跡です」

高校生(海へ向かって左側で)「右下から上方向に向かう細い道路も廃線跡です。車が止まっている向こうのあたりからトンネルになっていました」

高校生「ボクは、紋別行きに乗って途中で降ります。それまでの間も廃線跡が見えるので、案内します」
TurtleNeck「ありがとうございます」

15:20雄武発→(北紋バス)→16:30(早16:29)紋別バスターミナル着

高校生「あの、草藪がこんもりとして直線的に伸びているところが廃線跡です」
TurtleNeck「なるほど」
高校生「ボクは、ここで降ります。もう少し行くと、橋が見えるところもあります」
TurtleNeck「どうもありがとう」

 興部(おこっぺ)を過ぎてまもなく、2か所で橋を確認。あとのほうを撮影できた。
 興部から紋別までは、旧名寄本線(名寄〜興部〜紋別〜中湧別〜遠軽)の一部だったルート。

 紋別に着いてホテルに荷物を置き、かに料理の店「かにっこ」へ向かった。少し古ぼけたその店は2階にあり、あまり広くはなかった。

TurtleNeck「ズワイガニ、毛ガニ、タラバガニ…目移りしますね。毛ガニもおいしいからなぁ。全部ここで採れるのですか。カニは、釧路かと思っていましたが」
店主「お客さん、カニといったらオホーツク海沿岸です。来る途中、カニの出店がたくさん並んでいたでしょう。釧路なんて太平洋岸だし、時季的に花咲ガニが揚がるだけなんです。そうですねぇ、ズワイガニのおまかせ定食をおすすめしましょう。刺身とフライに、カニみそ、吸物、漬物がつきます。刺身はやっぱ、ズワイがおいしいですからね」
TurtleNeck「なるほど。じゃ、おまかせします」

 この店では高価な部類のおまかせ定食(3,000円)は、さほど待たずに目前に現れた。なるほど、カニの旨い刺身とはこういうことか。一瞬、ごりっと歯ごたえがあったような気がして、そしてとろっととろけた。フライもまた旨い。

店主「いかがですか?」
TurtleNeck「とてもおいしいです。実は、インターネットで調べたら、紋別のカニ料理は『かにっこ』ということなので、来てみたんです。『かにっこ』は、有名ですよ」
店主(相好を崩しながら)「ありがとうございます。そう言ってもらえるととても励みになります。で、どちらからお出でで?」
TurtleNeck「弘前市です。今日は、稚内から来ました」
店主「弘前は、桜が有名ですよね。で、車ですか?」
TurtleNeck「いや、バスを乗り継いで来ました。明日は、バスで網走まで行きますが、網走バスは、サロマ湖をかすめて内陸へ行ってしまうんですよね。で、途中から佐呂間町営バスに乗り換えるとサロマ湖畔を経由できるんです」
店主「わぁ、ずいぶん詳しく調べているんですね」
TurtleNeck「マニア、みたいなものですから(笑)。ところで、旧紋別駅は、このへんにあったのですか?」
店主「紋別駅は、目の前の広場(紋別バスターミナルの北側・オホーツク氷紋の駅の駐車場)にあったんですよ。毎日ここから見ていました」
TurtleNeck「ふ〜ん、もはや面影も何もないですね」
店主「あたり一帯が整備されてしまいましたからね。人口も、一時は4万人あったのが今では2万5千人。みんな、札幌へ出て行ってしまうんです。全日空は、紋別空港から撤退すると言い出すし…」
TurtleNeck(勘定を済ませ)「このお店、つぶさないでくださいよ。ネットで検索すればすぐ出てくるんですから」
店主「はい、ぜひまたお越しください。ありがとうございます(三唱)」

2010/07/28

 再びバスで移動する日。サロマ湖に寄って網走へ向かう。

 昨夜の「かにっこ」の外観を撮影してからバスに乗り込んだ。

06:35紋別バスターミナル発→(北紋バス)→07:30中湧別文化センタートム着

左の建物が中湧別文化センターTom。

 中湧別バスターミナルは、中湧別文化センターTom(コインロッカーあり)の一角にある。
 彼方に、鉄道記念館が見える。

 バスターミナル前には、バス停が3個並んでいる。北紋バスは「中湧別文化センタートム」で、網走バスは「中湧別」で、湧別町営バスは「文化センター」。

 鉄道記念館は、旧中湧別駅舎等。

 鉄道記念館あたりから見た文化センターの側面は、アーチ型に湾曲している。

 近くには広場と水飲み場と駐車場があるため、キャンピングカーでやって来て洗濯物を干したり炊事したり子供たちが遊んだり、ここでたまたま出会ったそうした旅行者たちが情報交換したり、ひととき賑やか。

 さて、今から網走バスで佐呂間町役場まで行っても、そこで2時間40分待たないとサロマ湖へ出るバスは来ない。地図上、網走バスがR238から内陸の佐呂間町役場へ向けて南下するあたりで下車してR238を東進すれば道の駅サロマ湖までは4〜5km程度。リュックが重いので休み休みで時速2kmしか進めなかったとしても、いたずらに2時間40分待つよりはマシではないか。

09:15(遅09:16)中湧別発→(網走バス)→09:50床丹着

 志撫子を過ぎたあたり、SL等が展示してあるのが見えた。

 床丹で下車。ひとつ前のバス停あたりがR238だと判ったときは、時すでに遅し。損した気分。徒歩15分でR238に復帰した。

 一休みしたのち、東進30分でトカロチ浜に着いた。サロマ湖は大きい。対岸の砂洲がほとんど見えないので、まるで海みたいだ。

 一休みしてから再び東進。道端の草に呑気な蝶が止まった。

 再びサロマ湖が見えてきた。

 トカロチ浜から東進35分でピラオロ台に着き、一休み。陽射しが強い。ここまでですでにかなり日焼けしたようで、腕がひりひりする。

 東進15分でサロマ湖畔バス停に到着して一休み。

 東進20分でようやく道の駅サロマ湖に到着。床丹からここまで、休憩時間も含めて2時間35分かかった。現在時刻は12:25で、案内で確認したところ佐呂間町営バスの発車時刻は13:14なので、余裕がある。
 着ているTシャツなどは汗でどろどろだ。
 エアコンの効いた小じんまりとした道の駅でほたてカレーで昼食とし、ゆっくり汗を乾かした。

13:14幌岩山西登山口発→(佐呂間町営バス)→13:30浜佐呂間着

 浜佐呂間で下車するとき運転士さんが、「網走行きへ乗り換えるんだったら、すぐ来るよ。バス停は、向こうのほうだから」と親切に教えてくれた。
 網走バスは2分遅れて来たので、ちょうど間に合って乗車できた。

13:31(遅13:33)浜佐呂間発→(網走バス)→14:31(遅14:33)網走着

 途中、常呂バスターミナルを通った。ここは、カーリングで有名。

 このこんもりとした直線的な草藪は、さっきサイクリングロードという標識があったくらいだから、きっと旧勇網線(中湧別〜網走)の廃線跡に違いない。

 網走到着は、当初の予定では18:05で、実際は14:33。ホテルにチェックインできる時間でもないので、駅の喫茶店でしばらく休んだのち、二ツ岩と能取岬めがけて歩いてみた。

 30分ほど歩いたら、二ツ岩まで2km、能取岬まで9kmとの道路標識。げっ、そんなに遠いのか。しかもこの道は、バス路線ではなさそうだ。
 縮尺が当てにならない観光地図を見ながら歩き、道路の途中に二重波線が入っていることに気がつくのが遅れたのだった。

 さらに10分ほどでピットカリ川河口・文化橋に出たら、二ツ岩らしき岩が見えた。

 振り返ると、知床半島らしき山並みがかすかに見えた。
 ここで引き返し、網走駅前に戻って蕎麦屋のざるそばで夕食とし、ホテルに入った。

2010/07/29

 青春18きっぷ4日目。東室蘭へ向かう。
 網走駅で改札のついでに下車印も(下車印15個目)。

06:32網走発→(JR石北本線)→07:36北見着

 北見駅の改札を出て(下車印16個目)、駅前商店街の喫茶店で朝食。

09:12北見発→(JR石北本線・宗谷本線)特快きたみ→12:20(遅12:21)旭川着

 遠軽到着直前、奇妙な岩があった。名前は知らない。

 遠軽駅はスイッチバック駅。改札で下車印を求めたら、指定した場所に駅員は間違えて改札印を押印(笑)。下車印はその横に押してもらった(下車印17個目)。
 とはいっても、発車時刻が迫って改札から出ないで列車に戻ったので、こっちもあまり意味のない行動をしていたわけだが。

 丸瀬布駅で特急と列車交換。車内放送で「この先、上川まで、シカなど動物が出て急ブレーキをかけることがあります」と言う。さっとカメラに手を伸ばすが、そんなときに限って何も現れてこない。

 上川駅のホームの屋根は、アーチ型。

 旭川駅の改札を出て(改札印18個目)、ポテトグラタンを出す店を探したが見当たらないので、カレーで昼食とした。

13:41旭川発→(JR函館本線)→15:22(遅15:26)岩見沢着
15:35岩見沢発→(JR函館本線)→16:18(遅16:19)札幌着

 最後のフィルムがカメラにおさまり予備がなくなったので、札幌駅改札を出て(下車印19個目)、隣のビックカメラでフィルムを買い込んだ。

17:02札幌発→(JR函館本線・千歳線・室蘭本線)→18:15(遅18:20)苫小牧着
18:30苫小牧発→(JR室蘭本線)→19:45(遅19:47)東室蘭着

 東室蘭駅で下車(下車印20個目)。

2010/07/30

 青春18きっぷ5日目。帰る。

05:50東室蘭発→(JR室蘭本線)→07:33長万部着

 改札を出て(下車印21個目)、駅前で一服。かにめし本舗かなやは、8:00からの営業。無理して買うと、8:06発に乗り遅れるかもしれなかった。

08:06長万部発→(JR函館本線)快速アイリス→10:01五稜郭着

 駒ケ岳は、雲に隠れてよく見えなかった。

 撮り終えて席に戻ると、孫らしき3人の子供を引き連れた婆やが話しかけてきた(話かけてきた6人目)。

婆や「写真を撮っているんですか」
TurtleNeck「少しね」
婆や「明日は、SLが走るんですよ。それから、函館市電では車掌さんが昔ながらにきっぷを切ってくれます」
TurtleNeck「ほぅ、珍しいですね」

 五稜郭駅で婆やに一礼して席を立ち、改札で下車印を求めたら、「下車印が壊れているので、これでもいいですか」と言って長四角の駅名ハンコを押してくれた(下車印(?)22個目)。珍しいから、かえってもうけた気分。
 駅前で一服。
 五稜郭駅に降り立ったのは、初めてかもしれなかった。

 五稜郭駅の駅舎に面する1番ホームは、使われていなかった。

10:17五稜郭発→(JR江差線)→11:15木古内着

 改札を出て(下車印23個目)、駅前の喫茶店に入り、ざるそばでお昼にした。

12:08木古内発→(JR海峡線・津軽線)白鳥20号→13:05蟹田着

 改札を出て(下車印24個目)、駅前の休憩所で休憩。

13:47蟹田発→(JR津軽線)→14:26(早14:25)青森着

 改札を出て(下車印25個目)、行きつけの紀文寿しへ向かったが開店前だったので、駅のドトールで一休み。
 駅前は、12月4日の東北新幹線新青森駅開業に向け、改修工事中だった。

15:25青森発→(JR奥羽本線)→16:10(遅16:17)弘前着

 弘前駅に着いて改札で下車印を求めたら、間違ってさかさまに押してしまった駅員は、思わず苦笑いした(下車印26個目)。


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