乗りつぶし 第1話 2005/12/23-24 北上線
(2006/01/15記)
(2006/01/16更新)

2005/12/11

 乗り鉄の日程が確定した。2005/12/23-24だ。
 北上線は学生時代に乗っただけだし、由利高原鉄道は未乗なので、これらに乗車しながら位置情報を移動受信したい。
 ついでに、いつも位置情報調査のアッシーをさせているカミサンを温泉に連れて行って慰労することにしよう。2人で1泊2日だから、青春18きっぷを4券片使えばよい。

訪問年月日記        事
2005/12/23

弘前−大館−盛岡−北上−ほっとゆだ(陸中川尻)

 7:56弘前発大館行きに乗車しようと弘前駅へ行ったら、奥羽本線は津軽湯の沢駅付近で倒木のため不通だと。昨夜来の雪のせいかもしれない。

 JR弘前駅は、弘前から大館まで各駅停車と直行の代行バスを出すという。さっそく直行便に乗車し、8:50発車。
 鉄路44.2kmのこの区間、夏場は国道7号経由で車で1時間で行ける。
 降りしきる雪の中、代行バスは国道7号をゆるやかに南下して碇ヶ関村の中心部を過ぎ、青森秋田県境・矢立峠にさしかかった。

 カミサンとともにバスの最前列・運転手の真後ろに陣取ったので、運転手が携帯電話でどっかと話したり、停車中に対向車の運転手と窓越しに話したりするのがよく聞こえる。
 どうやら、矢立峠付近でトラックが横転し、上下線をふさいだらしい。
 おまけに、並行する東北自動車道は、一部区間(青森〜〜碇ヶ関〜小坂〜十和田)で通行止めになっているとか。
 ほかに迂回路はない。代行バスは、ここで立ち往生。
 そこは何もない山の中で、あたり一面、雪の原だ。雪なんて、とっくに見飽きているのに。

 やがて、東北自動車道の通行止めは解除されたという情報が入り、代行バスは、東北自動車道経由にコースを変更。
 運転手は、東北自動車道に入ったらトイレ休憩すると提案した。そして、小さなパーキングエリアに停車中、トイレには長蛇の列が出来た。

 碇ヶ関から小坂までは、快適な高速道路の旅だった。
 そんな中、運転手が携帯電話で話している。
 「各停、どうするんだべ。困ったな、こりゃ(苦笑)」
 それは、「各駅停車の代行バスは、東北自動車道経由だと奥羽本線の各駅を回れないので、各駅停車でなくなってしまう。どうするんだろう。困ったね」という意味の会話らしかった。
 「この運転手、話が短くて濃いな」と妙に感心したりする。

 秋田県道2号(樹海ライン)、小坂から大館までは、雪のため道幅が所々狭くなっていて大型車のすれ違いが困難だった。お互いちょっとずつ進んですれ違うため、むやみやたらと時間がかかる。
 無理したらしく道路脇の雪に突っ込んで動けないトラックがいた。このトラックが邪魔になって、代行バスは再び立ち往生。

 そんなこんなで代行バスは、弘前から大館まで5時間28分もかかり、14:18大館駅に到着。
 大館駅では、奥羽本線上下線と花輪線が運転再開の見込み立たず。
 駅員「次の花輪線盛岡行きは16:00発が出る予定ですが、どうなるものか・・・」
 なんとも頼りない話だこと。

 カミサンは、トラブルだらけの旅にパニクりながらも、「高速バスで盛岡へ出よう」と言い出す。そりゃ、いい考えだ。もはや「青春18きっぷだから鈍行で」などとこだわっている場合ではない。

 14:45大館発盛岡行き高速バスに乗車したら、東北自動車道に乗るまであちこち寄り道しながら乗客を拾って進んでいく。
 結局、3時間近くもかかって17:35盛岡到着。
 道中、ノートパソコンでモバイルしてJRの運行状況をチェックしたところ、東北本線と北上線の遅延情報は出ていなかったので、これで一安心。

 ところがカミサンは、相も変わらずパニクっている。勝手にあたふたと動き回るものだから、歩き慣れた(はずの)盛岡駅で不覚にも迷ってしまう始末。
 んもう・・・TurtleNeckは旅慣れしているんだから、だまってついて来いってんだよ、まったく。

 18:13盛岡発に乗車し、北上には19:05到着。
 カミサンのパニックは、ここでやっとおさまった(笑)。
 予約してある旅館に電話を入れ、ほっとゆだ駅にタクシーを手配してもらう。
 20:05北上発横手行きに乗り換え、位置情報を移動受信するうち、20:52ほっとゆだ到着。
北緯39.16.40東経141.02.05岩手県北上市和賀町岩崎
北緯39.16.37東経141.02.01岩手県北上市和賀町岩崎
北緯39.19.37東経141.04.39岩手県北上市藤沢
北緯39.17.51東経140.51.03岩手県西和賀町杉名畑
北緯39.19.41東経140.47.11岩手県西和賀町大沓
 位置情報、あまり多く出て来なかったね。まぁ、ローカル線ならこんなものかな。

 20:53ほっとゆだ駅で待ちかまえるタクシーに乗り込み、湯川温泉の旅館に着いたら21:08だった。
 なんだか、雪が多いような気がするが、暗くてよく見えない。
 TurtleNeck「ほっとゆだ駅って、昔は何ていう所でしたか」
 タクシー運転手「陸中川尻です」

 そういえば昔、そんな駅を通った記憶がある。「Hot湯だ」も結構だが、「りくちゅうかわしり」も響きが良い。こうした歴史的伝統的(?)地名は、大切にしたい。

 かくして、行程は短く時間は長い大旅行、ひとまず初日はクリアした。

2005/12/24

ほっとゆだ−横手−秋田−(羽後本荘−矢島−羽後本荘−秋田)−弘前

 トラブルは、まだ続いた。旅って、こんなに大変なものだったろうか(汗)。

 朝起きて旅館の玄関を出たらそこは、軽く1メートルを超す積雪だった。岩手秋田県境に近いここ湯川温泉は、結構な豪雪地帯らしい。

 岩手県交通バスの停留所は、旅館の玄関前で雪に埋もれていた。

 7:45発のバスに乗車し、ほっとゆだには定刻8:00のちょっと前に到着。

 落ち着いた和風(?)の駅舎を見たらなんと、浴場と一体化している。それで「Hot湯だ」か、なるほど。

 8:21ほっとゆだ発に乗車し、横手へ向かう。
 ここ北上線は、電化されていない。
 雪を蹴散らしながら電気に頼らず自力で進むジーゼルカーは、なかなか頼もしい。
北緯39.16.45東経140.43.31岩手県西和賀町野々宿
北緯39.16.10東経140.43.05秋田県横手市山内黒沢
北緯39.17.04東経140.37.33秋田県横手市山内土渕
北緯39.16.59東経140.37.31秋田県横手市山内土渕
北緯39.17.02東経140.37.27秋田県横手市山内土渕
 位置情報を移動受信するうち、8:53横手到着。
 定刻に着くと、昨日のトラブルなんかさっぱり忘れてしまう。

 ところがどっこい横手駅では、「奥羽本線の和田と秋田の間で除雪作業中のため、下り10:03発は発車できても秋田の手前で待たされることになりそう」だと。
 10:03発は秋田の少し手前で6時間くらいの立ち往生だったとは、後でニュースで知ったこと。

 カミサンは、もはやすっかり平静になっていた。しばらくたったら、またもや「高速バスはないの?」と言い出した。
 あわてて時刻表をめくったら、たしかに横手と秋田を結ぶ高速バスがある。
 バス停は、横手駅のすぐ近くだった。

 定刻より20分遅れの10:55に入線した秋田中央交通バスは、普通の路線バス用の車体で、それはどう見ても高速バスらしからぬ風貌だった。
 秋田自動車道では快適走行だったが、秋田自動車道を下りてからが大変だった。
 秋田市界隈では、昨日来のドカ雪で道路状態が悪く、渋滞している。バスは、なかなか進まない。
 2時間半もかかって、秋田には13:27到着。もはや、由利高原鉄道へ向かう余裕なんかない。

 秋田駅もまた、ひどいことになっていた。
 奥羽本線は、秋田と東能代の間の森岳付近で倒木のため不通。また、同区間では除雪作業中。

 改札前の地図掲示板だと、午後4:00まで除雪作業となっている。
 5:30発函館行き寝台特急日本海1号は、入線したきり足止めを食らっている。
 下りは今朝から1本も出ていないのかもしれない。
 こりゃ黙っていてはだめだ、と思った。

 TurtleNeck「代行バスは出しますか」
 駅員「バス代行は、できません。バスがありません」

 改札には、数人の駅員が出て乗客に丁寧に状況を説明している。
 なかなか良い対応、さすがはJR秋田支社のお膝元・秋田駅だ。
 だが、その秋田駅が代行バスも手配できないなんて、そんなばかげた話があるとは、とても信じられない(汗)。

 TurtleNeck「弘前まで行きますが、バスなどで自力で東能代まで行った場合、そこから先は列車が動いていますか」
 駅員「東能代から先も動いていません」

 だめだ、こりゃ。どうしようもない。JRが動くまで待つしかない。
 改札前の掲示板、除雪作業の「4:00」は、いつの間にか「5:00」に書き換えられた。
 やがて、足止め中の日本海1号が動き出しそうな気配になってきた。

 TurtleNeck「代行バスは出しますか」
 駅員「バス代行は、できません。バスがありません」

 TurtleNeck「青春18きっぷなので、普通列車に乗りたいのですが」
 駅員「日本海1号が先に出ることになります。お急ぎでしたらそちらをご利用ください」
 TurtleNeck「わかりました。では、青春18きっぷは捨てます。そして乗車券だけ買って、日本海1号に便宜乗車できますか」
 駅員「…」

 やがて、業務用の構内放送が入った。
 「業務連絡。4001…6号車、7号車、8号車を…」
 4001は、日本海1号の列車番号だ。乗車券のみの乗客を6号車、7号車、8号車に便宜乗車させてくれるわけか。よかった。

 日本海1号は11時間48分の足止めを食らった後、17:18秋田を発車した。
 おや、カミサンは、かばんを枕にして早くも寝息を立てている。たった2日ですっかり旅慣れしたかな(笑)。
 弘前には、19:43到着。
 とても長かった2日間の旅は、やっと終結した。


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